🐕最後に菊谷節子さんがわさお君に与えた優しさとは

 

ブサカワ犬としてお茶の間の人気者わさお君。

もともと捨て犬で狂暴だったわさお君が、唯一心を許していたのは菊谷節子さんでした。

 

菊谷さんは、あまりに狂暴だった野良犬わさお君を自宅で引き取り、時には優しく時には厳しく、大切に育ててきました。

 

 

わさお君は自分の事を大切にしてくれる菊谷さんの思いを感じ、菊谷さんの事が大好きになり、菊谷さんがくれたエサしか食べず、菊谷さんがいないと水も飲まなくなるようなワンちゃんでしたが、2017年11月30日に菊谷さんがお亡くなりになってしまいました。

 

 

菊谷さんは、そんなわさお君の事がすごく心配で、生前、わさお君のために出来る限りの事をやってあげたそうです。

 

 

↑　菊谷さんが入院した時には、寂しさから大量の毛が抜けてしまい、ご飯は食べないし水も飲まない状態で菊谷さんの帰りを待っていたのだとか。

 

 

↑　そんなわさお君の姿を見て、菊谷さんは「わさおは私がいなくなって独りになったらもたない犬だ」と話していました。

 

 

菊谷さんは、自分にもしもの事があったらわさお君が生きていけなくなるだろう事を心配し、わさお君に家族を作ってあげようと決めました。

↓　わさお君のお見合いを決めたと報告した日です。

 

 

そしてお見合い会場へ・・・。

 

 

菊谷さん＞わさお、トンカツパーテーだって！

(菊谷さんが言うと、「パーティー」が「パーテー」になるようです)

 

 

ディレクター＞婚カツですね・・・。

菊谷さん＞そうそう、婚カツ！ハハハハハ・・・。

 

 

お見合いは雪の中。

お嫁さん候補のワンちゃんは4匹来ていました。

 

 

この時すでに、菊谷さんは日常的に酸素ボンベを付けて移動していて、雪道を歩き、呼吸が苦しそうでした。

 

 

わさお君は人気者なので、わさお君Tシャツも人気商品。

この日は菊谷さんも「わさおと同じ気持ちになって、これ着てきたの」とおっしゃっていました。

 

 

菊谷さんが一目で気に入ったのがつばきちゃん。

つばきちゃんは人見知りで、菊谷さんとわさお君が到着すると車の陰に隠れてしまいました。

 

 

近くによると、さらに車の下に潜り込んでいき、菊谷さんがその様子を見ながら、「この子、最高だ！」とわさお君の奥さんに決めました。

 

 

2匹とも、雪の中でじゃれ合いながら楽しそう。

 

そして、そのつばきちゃんは、菊谷さんが亡くなってからずっと、わさお君に寄り添ってあげているんです。

 

 

他にも家族がもう1匹。

 

 

わさお君のそっくり犬ちょめちゃん。

わさお君は、菊谷さんがいればお客さんの前でおとなしくしているのですが、菊谷さんがいなくなると狂暴になってしまうかも知れません。

 

そんなわさお君のフォローのため、お客様対応ができるそっくりなワンちゃんを見つけてきたのです。

ちょめちゃんは秋田犬の血統が認められなかったため、飼い主が決まらないでいたワンちゃん。

 

菊谷さんはちょめちゃんをしっかりとしつけ、「人に噛みついてはいけない」と教え込みました。

実はわさお君、菊谷さんの息子さんにすごい剣幕で噛みついた事があるのです。

 

菊谷さんは、わさお君がお客さんに噛みつかないか心配だったのでしょう。

 

 

お客さんはわさお君だと思って、

「それ、わさおじゃないの？」と聞いていましたが、菊谷さんは

「これはわさおの子供」と説明。

 

わさお君とつばきちゃんの間には子供はいないので、養子ってことでしょうか？

 

菊谷さんがわさお君に作ってあげたこの家族が、菊谷さん亡き後のわさお君を支えているようです。

 

 

わさお君に家族ができたのは素晴らしい事ですが、心配だった問題は他にもありました。

それは、わさお君が他の人に心を許さないという事。

 

他の人が与えたエサも水も口にしないし、菊谷さんがいなければ散歩にも行かない。

だから、菊谷さんはそばで見てあげながら、他の人からもらったエサを食べるように、徐々に慣れさせていきました。

 

お散歩については、他の人達に散歩に連れていってもらい、菊谷さんは軽トラックに乗ってわさお君に声を掛け続け、わさお君が他の人とでもお散歩に行けるように慣れさせていきました。

 

 

そのおかげで、菊谷さんがお亡くなりになった後も、わさお君は他の人から与えられたエサや水を口にするようになり、お散歩も行くようになりました。

 

 

菊谷さんは、ご自分の体調が悪化していく事から、わさお君に遺言を残していらっしゃいました。

 

 

それは、8年間取材を続けていたディレクターさんに録画を頼んだもので、菊谷さんはわさお君が寂しい思いをしないようにと残したものでした。

 

 

遺言の動画は、菊谷さんが入院した2016年12月、病院で撮影されました。

 

 

菊谷さんの遺言動画より

わさお！これ、わさお！こっち向け！ばあちゃんの声だよ。

親父も元気だか？

お父さん、わさおは言う事聞いてるか？まあ、聞かないか。聞かなくても、わさおの散歩頼むよ。

つばき、どうしてる？ちょめ、どうしてる？

お父さんも入れて仲良くしてるか？まあ、お父さんは無理だよな。

(わさおが)ちゃんとみんな(犬たち)のリードとるんだよ。お客さんにもサービスするんだよ。

ばあちゃんとやったようにな。ふて腐れねえでな。・・・・涙出てきた・・・(涙を拭う)。

 

それをわさお君に見せるべきかどうかは、やはりご家族の同意が必用。

ディレクターさんはご家族に遺言動画を見て頂きました。

 

ですが、ご家族は涙を流しながら随分悩み、すぐには答えが出てきませんでした。

菊谷さんの気持ちを考えると、わさお君に見せたいとは思うけれど、わさお君の事を考えると「その後が続かない・・・」。

再会は絶対にあり得ないのですから。

 

 

数日後にご家族が出した答えは、その動画をわさお君に「見せない」という答えでした。

わさお君がせっかく頑張っているのに、また会えない事への寂しさで、もっと辛い思いをするのではないかという心配があったからです。

 

そして、御主人は「わさおは動画を見なくても、(菊谷さんの)気持は分かってると思う」と一言。

 

 

わさお君が他の人に慣れない事から、心配していた方は多いことでしょう。

ですが、菊谷さんはご自身が弱っていくのを感じ、きっと、ご自分の事よりもわさお君の事が心配だったに違いありません。

 

菊谷さんは呼吸が苦しい中、また、体調が悪化していく中、わさお君に出来る限りの事をして天国に行かれました。

 

菊谷さんがお亡くなりになった日には、わさお君にも分かったようで、お店の人が散歩に連れて行こうとすると突然に走り出したり、ご飯をまったく食べなかったりしていました。

 

ですが、そんなわさお君を支えたのは、菊谷さんが作ったわさお君の家族。

つばきちゃんがずっと寄り添っていましたよ。

 

最近でも、軽トラックがお店の前を通るたびに、菊谷さんが乗っているんじゃないかと思って、まるで菊谷さんを大声で呼んでいるかのように吠えています。

 

 

ですが、菊谷さんのご主人が「わさおは分かってる」とおっしゃっていたように、3匹で散歩に行くときには、つばきちゃんとちょめちゃんに気を配っているのが印象的でした。

 

今でも御主人が近付くと「ウ～！」と唸っていますが、菊谷さんが教えたことは、わさお君の心の中にあるようです。

 

人間に心を開く事は難しいのかも知れませんが、これからもきっと、菊谷さんが作ってくれた家族を支えに、時間をかけながら元気になっていく事でしょう。

 

これからも、ディレクターさんはわさお君の撮影を続けていくそうですよ。

わさお君が元気になるよう、見守っていきましょうね。

 

画像・情報＞日本テレビ「志村どうぶつ園」より