なぜこの作品を三浦春馬さんの作品紹介コーナー1作目に選んだかと言うと、私個人の感想として、春馬さんの演技力の凄さを感じた作品だったからです。
この作品の原作は”Never Let Me Go”という長編小説(2005年カズオ イシグロ著)。
2010年にはイギリスで映画化され、様々な波紋を呼びました。
その後、日本では2014年に蜷川幸雄先生の演出によりドラマ化。
綾瀬はるかさん主演で、綾瀬さんの相手役が三浦春馬さんでした。
三浦春馬さんのコーナーなので、ここでは日本のドラマについてのみお話しますね。
<「私を離さないで」のあらすじ>
第1話の舞台はまるで孤児院のような施設「陽光学苑」。
そこに集められて育成されている子供たちは、クローン技術によって量産されたクローン人間の子供たち。
クローン人間を増やす目的は、クローンではない人間たちへの臓器提供(以下、「提供」と記載)でした。
何も知らないで育てられている子供たちの中には、意地悪な子がいたり、すぐに癇癪を起す子がいたり、人間として精神的な未完成さを感じる子供たちもいました。
それでも遊ぶときは満面の笑顔で、普通の子供と同じように楽しく遊ぶのです。
そんな陽光学苑に教員として赴任してきた堀江龍子先生(伊藤歩さん)が「こんな事、あってはならない」と、子供たちにサッカー選手の話をして希望を持たせたために、三浦春馬さん演じるトモ(土井友彦)は、子供の頃からサッカー選手になる事を夢見るようになりました。
綾瀬はるかさん演じる保科恭子(ほしなきょうこ)も調理師となる夢を持ちましたが、提供のために作られたクローン人間たちにとって、夢はその後の苦しみをさらに大きくしてしまうもの。
最後には臓器を切り取られながら、夢を叶えることができない現実を受け止めていかなければなりません。
クローン人間たちにとって、夢は残酷なものでしかなかったのです。
恭子とトモは子供の頃から惹かれあっていて、お互いに「好き」だと言えなかったために、友達の酒井美和(水川あさみさん)に割り込まれ、恭子はトモを取られてしまいました。
その後、恭子はトモから身を引こうとしながらも、トモと美和との3人で行動をすることに。
そして陽光学苑の子供たちは大人になってから、「コテージ」と呼ばれる古い宿に移っていきました。
恭子たち3人は陽光学苑を出て同じコテージに移り、先輩たちとの共同生活がスタート。
そこは洋式のオシャレな「コテージ」とは異なり、日本の古いアパートのような建物。
彼らはそこで、「介護人」や「提供者」になる順番を待ちます。
「介護人」というのは、「提供者」のお世話をする人の事。
提供は1人あたり3回~4回で終了なのですが、その「終了」というのは「死」を意味するもので、通常は3回目に複数の臓器を取られて死に至り、それでも何とか命を持ちこたえている人も4回目には「終了」をむかえます。
「介護人」はその「提供者」の食事や健康管理、薬の管理など、身の回りの世話をしなければなりませんでした。
そして、「提供」に関する告知をしたり、もう提供が出来ない状態になった「提供者」に薬品を注射し、安楽死をさせるのも「介護人」の役目。
脱走したり、外出した時に時間通りに帰ってこなかったりすれば即「解体」。
彼らには将来の希望など一欠けらもありませんでした。
恭子はコテージでの共同生活で、美和に嫌悪感を募らせていきました。
美和は好きでもないトモと付き合いながら、わざと恭子に見せつけようとしていたのです。
その他にも、子供の頃に美和は恭子の大切なCDを盗んだり、わざと嫌がる事を言ってみたり、恭子には美和の言動が理解できないままでした。
「陽光学苑」の出身者はクローン人間の中では特別で、学苑を出てから「提供者」になるまで3年間の「猶予」を特権として与えられていました。
それでも3年後には美和もトモも「提供者」になり、「陽光学苑」で優等生だった恭子は「介護人」となりました。
トモと美和の「提供」が始まった頃、3人で外出し、ずっと行きたかった場所を訪れながら現実の儚さを感じていきます。
夢に描いていた場所がゴミだらけになっていたり、探し物を見つける事ができなかったり。
↑ 恭子の子供時代
↑ 恭子の同じ遺伝子から作られたクローン人間
中でも閉鎖した「陽光学苑」跡地を訪れたことが印象的。
「陽光学苑」跡地は別のクローン人間の施設になり、そこにはたくさんの子供たちと教員がいました。
子供たちは庭で縄跳びをしたり、テレビゲームや落書きをして遊んでいるのに、誰一人笑っている子供はなく、話し声もありませんでした。
そして、そこで見たのは、恭子の子供の頃と瓜二つの少女。
話しかけても表情が暗く、会話をする事も知らずに育ったその子を見て、恭子は自分と同じ遺伝子から作られたコピーだと確信しました。
病院に帰ってくると美和は「本当はトモの事が好きだったわけじゃない」と、本当の気持ちを打ち明けました。
恭子がトモと付き合う事になると自分が一人になるだろうから、「一人になりたくなかっただけ」だったのです。
そしてトモと恭子の気持ちに気付いていた美和は、「これから失った時間を取り戻して!二人で猶予を勝ち取って!」と言い、その後3回目の「提供」を終え「終了」を迎えました。
美和は生前最後の作品として、恭子とトモが手を握っている形を紙粘土で作ったのですが、割れてしまったので渡す事なく亡くなりました。
そして、死後に恭子がゴミの分別をしながらそれを発見し、美和の思いを感じながら静かに涙を流しました。
美和の死後、恭子はトモの「介護人」になりました。
トモは命が削られていく辛さに精神的に不安定になったり、薬を飲まなくなったり。
恭子は同時に5人の「介護人」をしながら心がすり減っていくのを感じ、壊れてしまいそうな状態で毎日を過ごしました。
「介護人」をするという事は、最終的にトモに薬品を注射して「終了」させなければならないという事。
愛する人が弱っていく姿を見ながら、最後に安楽死をさせなければいけない苦しみが待っています。
その最後の結末が、涙なくして見る事が出来ません。
目に涙をため、外の景色を見るトモ。
<「皆さんは天使です」>
幸せそうに過ごしている子供たちが成長し、「提供者」としての不幸な死を受け入れていく様子と、「生きていたい」と望む悲しい気持ちが涙を誘います。
その中でも、「皆さんは天使です」という言葉が強く心に響きました。
この言葉は、「陽光学苑」の創設者である神川恵美子先生が、子供たちに「あなたがたは提供者としての使命を持って産まれてきました」と語るときに使われました。
臓器提供について「他の人たちの幸せのために体の一部を提供する」事を使命とし、その提供者になる子供たちについて「皆さんは天使なのです」と、偽善とも思える言葉で子供たちを洗脳しているように見えました。
ですが、ゆくゆく先、その言葉が彼らの心の支えとなるのです。
どうして自分たちは「提供」をしなければならないのか、どうして他の人たちのために犠牲にならなければならないのか、答えを見出せない中で、「私たちは天使」と言い聞かせながら「終了」を迎えます。
偽善者だと思われていた恵美子先生は、恐らく、子供たちが大人になって提供者となる時に、少しでも心を救えるようにと「天使」と言ったのでしょう。
「天使」という言葉は、自分の意志に関係なく強制的に「提供者」にならざるを得ないクローン人間たちの心に刻まれ、支えとなっていきます。
<「猶予」を求める提供者>
彼らには「猶予」にまつわる噂話が流れてきます。
「猶予」とは、「提供者」になる時期を延長してもらえる特別な対応。
恭子やトモは「陽光学苑」だというだけで、子供の時期から卒業後3年間は「提供者」にならないで済む「猶予」を受けていました。
ですが、「猶予」が与えられた時間は「陽光学苑」卒業後3年間まで。
たとえ噂話であったとしても、「猶予」についてほんの僅かな可能性があれば、心から望んでしまうという所が切ないです。
私は彼らの思いを感じる中、私たちが当たり前に生きている毎日がどれほど大切な時間なのかと、改めて知る事が出来ました。
<3回目の提供に怯える美和>
恭子と大切な話をしている中、美和の迎えが来ました。
それは3回目の提供の時間・・・。
3つの臓器を同時に取られ、恐らく死に至るだろう恐怖から、美和は震えながら恭子の腕にしがみ付きます。
医師は事務的に美和をタンカーに縛り付け、強引に手術室に連れていくのです。
美和が人間として扱われず「終了」を迎える残酷さ、あまりにも悲しいシーンです。
<生まれて来て良かったと思いたい>
恭子が介護をしていた「提供者」の一人に加藤さん(柄本佑さん)という男性がいました。
加藤さんは「小さなことでいいから、生まれて来て良かったって思いたいな」と、弱っていく中で恭子に一言いました。
自分が産まれてきた意味を、ほんの一欠けらでもいいから知りたいと探っていたのです。
加藤さんの人柄があまりにいい人過ぎて、なぜこんな仕打ちを受けなければならないのかと切なくなるシーンです。
<恵美子先生の思い>
神川恵美子先生の父親は、クローン人間の研究者でした。
恵美子先生は、父の研究していたクローン人間第一作目で、この事実を知っているのは、ほんの一部の人たちだけでした。
恵美子先生はクローン人間として産まれてきた子供たちに、せめて成人するまでは人間らしく生きて欲しいと思い、「陽光学苑」を創設。
他の施設では小さなうちに「提供者」となる子供がいる中、「陽光学苑」の子供たちは特別に「猶予」を受ける事が出来たのです。
外の世界の人間たちは、クローン人間の存在を知らなかったり、知っているとしても「魂の無い生物」と思っていたり、都合よく真実から目を背けていたり。
そんな人間たちに対し、恵美子先生は「この子たちは生きている」「しっかりとした教育を施せば、普通の人間と同じように成長する」「この子たちにも心がある」という事を訴えるために、「陽光学苑」の教育の一環として絵画に力を入れていました。
「その絵は政界や大企業の著名人の手に渡り、たくさんの人間たちの目に留まる事になるだろう。
そうしたら、少しずつでも理解者が増えていくはず。
そして、いつか世の中が変わっていくに違いない」と考えていたのです。
また、教育に力を入れる事でクローン人間を優秀な「介護人」にし、世間に認めさせ、クローン人間でも生き延びていけるようにとも考えていました。
「私は地を這う虫のように、少しずつ少しずつ、時代を変えようと思っていた」というセリフが、彼らを守る事の難しさを語っています。
そして最終回で、元教員のジロウ先生との会話で、「『提供者』のお陰で人々の寿命が延び、提供を断る高齢者が増えている」と話します。
恵美子先生が「この仕組みは、いずれ崩壊していくでしょう」と言うと、ジロウ先生は「やっと夢が叶いますね。本当はずっとその事を望んでいたのではないですか?」と、笑みを浮かべました。
恵美子先生とジロウ先生の本当の思いは、クローン人間の大量生産や残酷な提供をなくす事だったのです。
そんな恵美子先生とジロウ先生の思いを知った上で初めから見返すと、異常だと思えたひとつひとつの言葉に、子供たちへの愛情を感じる事でしょう。
<1つだけ叶った夢>
トモがコテージを出てからずっと願っていた夢は、恭子にもう一度会う事。
提供者になる事が決まったトモは、一人で医療施設にいたのです。
そして、美和の生前に3人で外出したり、恭子が「介護人」となったり。
トモはそれまで、サッカー選手になる夢も、生き続ける夢も、せめて「猶予を受けたい」という夢も叶いませんでしたが、トモは恭子と最後の時間を共に過ごす事ができました。
その事について、最終回の3回目の提供の前に、トモは「実は一つだけは夢が叶っていた」と言っています。
そして、「恭子、俺、生まれてきてよかったよ。この世に恭子がいて良かったよ。会えてよかった。こんな終わり方ができて良かったよ」と、恭子を後ろから抱きしめながら素直な気持ちを言うシーンが、悲しくもあり温かい気持ちにもなる感動的なシーンです。
こんなにも残酷で、こんなにも悲しいストーリーの中で、最後に自分が幸せであることを実感しながら人生を終えるという、一つのメッセージ性を感じるこのシーンが特におススメです。
<未完成な人間を演じる>
実際にはクローン人間など存在しないので、春馬さん自身、凄く悩んだことと思います。
サッカーが大好きなトモは、どことなくぎこちない動作でボールを蹴るのですが、そのアンバランスな動きが凄いです。
春馬さんが他の作品で演じるスポーツのシーンを見ると、体幹がしっかりしていて綺麗な動きをしています。
ですが、この作品の中ではギクシャクした不自然な動きをしているのです。
そこに、春馬さんが追及したクローン人間像を感じます。
クローン人間は自然に生まれてきた人間ではなく、科学的に開発された人間であるため、春馬さんは未完成さを表現したかったのでしょう。
また、癇癪を起すところや話し方、ちょっとした顔の向き、仕草など、全てのシーンで不完全な人間を演じている姿に驚きました。
とても演技とは思えないトモの動きや話し方を見ると、春馬さんがどれほど深い所までトモという人物を追及していたか、計り知れません。
また、春馬さん演じるトモは、この作品の中で少しずつ成長しています。
子供の頃のトモは子役が演じていましたが、大人になったトモは三浦春馬さんが演じていました。
「陽光学苑」で卒業準備をしている時、コテージに行って共同生活をする時、提供が始まった時、最後に恭子と過ごす時など、少しずつトモの心が成長しているのです。
辛い思いを重ねながらトモにとっての幸せを見出し、恭子の前で素直に思いを告げる時には、その声の温かさに、春馬さん自身の人柄が現れているのではないかと思います。
ここからは現実のお話です。
この作品の原作は、クローン技術が注目を浴び、実際に「臓器移植に使えるんじゃないか」という話題が挙がった後に出来たお話です。
「臓器移植に使える」という事は、そのクローン人間はどのような事になってしまうのか、当時は世間を騒がせました。
このドラマは、人間が自分たちの都合で作り上げたクローン人間にも、人間としての心があり、教育をすれば普通の人間と同じように生活をする事ができるという事を教えてくれます。
実際にクローン研究は動物実験で成功例を重ね、海外では、愛犬を失った飼い主さんのために、オリジナルの遺伝子からクローン犬を作って提供するサービスがあります。
テレビの映像や写真を見るかぎりでは、クローン犬もとてもかわいく、他の犬と同じように元気に走り回っています。
クローン犬も幸せに生きているようですが、命に関わる問題なだけに、科学的に生命を作り上げてもいいものかという意見が多くあります。
また、クローン人間の話が騒がれていた頃に、「子供がいない家庭に、子供をつくる事も可能では?」という意見もありました。
ですが、その子供はクローンである事でイジメの対象になるかも知れないし、本人が知ってしまったら大きなショックを受けるかもしれません。
技術的な事だけではない、一人の人間の一生についても考えなければならない問題である事が、当時、私たちのような素人にも理解出来ました。
それに加え、当時のクローン動物の老化が早く寿命が短い事から、話題にはなったものの非現実的な話としてその時は終わりました。
しかし、今でもクローン研究は続けられています。
実際にオリジナルの人間にそっくりなコピーができてしまうかも知れません。
もしも子供を失った人が、その子供とそっくりなクローン人間を迎える事となったら、亡くなった子供についてはどう解釈したらいいのでしょう。
たとえ亡くなったとしても、その子は世界でたった一人の存在なのです。
そして、それはクローン人間にも同じことが言えるでしょう。
日本国内ではクローン人間を作る行為を法的に禁じていますが、海外では解釈が様々。
すごい研究ではありますが、人工的に生命を作り出す事についてみなさんはどう思いますか?
ドラマ「わたしを離さないで」は、そのようなクローン人間や生命について考えさせられるストーリーです。
「史上最大の悲劇」と言われるこの作品で、トモを演じる三浦春馬さん。
素人の私がどう表現したらいいか分かりませんが、春馬さんは細部までこだわり抜き、「演じる事」を越えて「春馬君はトモ本人じゃないだろうか?」とも思える演技を見せてくれます。
役を演じるにあたって、一欠けらも曖昧さを感じることがない春馬さんを見ていて、どれほどの思いでトモになりきっていたのか、どれほど一つ一つの作品を大切にしていたのかと、尊敬してしまうほど。
どれほど苦しく悲しい一生であっても、その中で幸せを見つける事が出来たトモは、ある意味、春馬さんの心を映し出す鏡だったのかも知れません。
胸を締め付けられるような悲しいシーンが散りばめられている作品なので、これから見る方は要注意です。
大泣きする事になるでしょうから、ハンカチとティッシュを横に置いてご覧ください。
※画像出典 : TBSオンデマンド
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