🌻私が内職詐欺に遭った時の話～～安い受講料だったけれど…

 

 

それは、まだ私が21歳の頃です。

当時はレストランで働きながら学校に通っていて、学校も職場も家から片道2時間半もかかるので、思い切って引っ越しをしたばかりでした。

 

貯金は遣い果たし、職場からも引っ越し代を借金し、暫くお給料から2万円ずつ返済する状況で、とっても貧乏な生活をしていたのです。

 

そんなわけで、時間的に自由な副業はないだろうかと、コンビニでフロムA(A to Z)という求人誌を購入して、内職や自由出勤の仕事を隅々見てみました。

 

すると、ペンダント制作の内職の募集を発見。

その仕事をはじめるには、説明会と講習会に参加してテストに合格しなければならなかったのですが、少しでも生活の足しになればと思って電話をしてみました。

 

電話には女性事務員さんが出て、感じのいい話し方で説明会の会場と日時を説明してくれました。

事務員さんがしっかりしているから、それだけで安心してしまったんですね。

 

しかも、当時、フロムAと言えばアルバイトニュース(現在のan)と並ぶ大手。

私はすっかり信じ込んでいました。

でも、悪徳業者や詐欺師は、新聞の求人欄でもどこでも紛れ込むもので、油断してはいけないのです。

 

 

説明会は楽しかったですよ。

私は一人で出席したので、年上の奥様方ばかりの中で孤立するのがイヤだなと思ったのですが、集まったのは同じくらいの女の子ばかり。

大体80人くらい集まっていたと思います。

 

場所は区民センターの会議室。

午前に1回と午後に2回ずつ、1週間くらい毎日やっていました。

出席者数をざっと計算すると、

 

80人 × 3回 × 6日間 = 1440人

 

単純計算で1440人も参加していた事になります。

そんなに毎回来ていたかどうかは分かりませんが、少なくとも1000人くらいは参加していたのでしょう。

 

説明会では、東急ハンズで買って来たらしい材料を見せられ、講師が目の前でペンダントを作って見せて、「これなら私にもできそうだ」と思いました。

 

ペンダントは300個を1箱に入れて納品。

1個あたり70円の報酬になるので、全部やったら2万1千円になると言うお話でした。

 

しかも、会社に300個届いたら、すぐにまた300個分の材料が送られてくるとのこと。

 

そして、やりたい人はその前に講習会を受け、最後に課題を提出して合格しなければならないという話。

受講料は8千円。

学生でも、お小遣いを貯金していれば払えるような金額です。

 

ですが、実は私、その受講料を持たずに、次の講習会に参加してしまいました。

なぜかと言うと、学費や引っ越しの支払いで、本当にお金が無かったからなんですが、先生に

「あれ？家を出るときに準備してたんですけど、忘れて来ちゃいました」と、言い訳をして、お財布の中にあった4000円だけ支払ったのです。

 

 

先生(男性)はブツブツ文句言ってましたけど、何か様子がおかしかったんですよ。

その先生は説明会の時には落ち着いた雰囲気で穏和な感じだったんですけど、その時は領収書を書く時の手がブルブル震えていて、挙動不審状態でした。

 

しかも、その字は震えのためにグシャグシャで、私はちゃんと言ったのに私の名前の文字を間違えていたのです。

まあ、あがり症なのかな？と思い、材料を受け取ったあと、ペンダントの製作をスタートしました。

 

会場には少なくとも50人は参加していたと思います。

みんな楽しそうにペンダントを作っていました。

 

30分くらいすると、先生が「ちょっと電話をかけてきます」と、部屋から出ていきました。

私は全く疑わずに、黙々とペンダントを作りながら、「これで350円分かな？この時間内で時給計算するといくらかな？」なんて。頭の中で時給計算までして楽しんでいたんです。

 

それからしばらくすると、私の後ろの席の人が、

「いくらなんでも、先生、遅くない？電話って言ってたけど、私たちを放っておいて、こんなに長時間電話するかな？」と、声をかけてきました。

 

その時に私は初めてハッと気づいたのです。

その人は、窓際にいた女の子を指さして、

「あの子、何日か前に講習会受けたらしいんだけど、もうバイト(内職)はじめてて、300個全部作って会社に送ったんだって。今日は友達と一緒に来てて・・・。それで、『もう、全部作って送りました』って先生に言ったら、それから先生の様子がおかしくなったの」と、話してくれました。

 

 

「じゃあ、ちょっと先生を探して来よう！」と私が言うと、他の参加者も何人か付いてきました。

 

他の人が

「受け付けで、先生がどこにいるのか聞いてくる」と走っていき、私たちは区民センターの中で先生を探し回りました。

 

そして受け付けでは、「もうお帰りになりましたよ」と言われたとのこと。

会社に電話してみると、なんと、事務員さんは社長の居場所が分からないと言うのです。

 

私たちが問い詰めると、その事務員さんは電話代行業者(今で言うバーチャルオフィス)の方で、そもそもその会社は存在しないという事が判明。

 

内職のペンダントの送り先も、その電話代行業者の住所でした。

しかし、当時の電話代行業者は荷物の受け取り代行まではやっていませんでした。

 

数日後にはバレてしまう事を推測して、すぐに作れないだろうノルマを300個と設定したんでしょうけど、もう既に全部作った人が出てきて、かなり動揺してしまったようです。

 

その後、先生が区民センターに戻る事はなく、私たちは警察に電話して被害届を出すことになりました。

 

自転車のおまわりさんが到着すると、そのあとにパトカーが来て、事件の流れを説明し、色々質問されました。

 

そして、「こんなアクセサリーで、そんなに稼げるわけないって、みんな気づかなかったの？」などと言われてしまいました。

そ、そんな言い方しなくても・・・。

 

でも、あとで考えると、ペンダントなんて誰にでも作れるような簡単なものでしたし、デザイン的にも全く魅力のないものでした。

 

その後、おまわりさんたちは、犯人が捕まったら電話をくれると言い、警察にお任せする事になりました。

 

ですが、全く連絡がないので捕まらなかったんでしょうね。

 

 

私は元々お金が無かったので、被害額は4千円で済みました。

それでも、お財布の中に残っている約2千円で10日間を過ごす事になり、すごくヒモジイ思いをしましたし、面接を受けに行く交通費すらないので、バイトを探す事ができませんでした。

 

他の女の子たちは、ほとんど学生さんとか家事手伝いのフリーターさん。

やはり8000円は大きいのです。

 

当時の時給がいくらだったか考えると、東京都中野区のジョナサンでバイトした時、深夜の時間帯で時給920円でした。

8千円は、今の感覚で言えば1万円以上の感覚なんでしょうね。

 

犯人は私たちの時間にいなくなってしまいましたが、実は、講習会はその日の夕方も行う予定でしたし、その後の2日間も3回ずつやる予定になっていたんです。

みんな、先生が来なくてビックリしたでしょうね。

 

被害総額を単純計算すると、講習会1回につき50人集まったとして、それだけでも

 

8000 × 50 = 400000

 

で、40万円も騙し取った事になります。

それを1日に3回もやっていたのだから、

 

40万 × 3 = 120万

 

と、1日に120万円にもなり、更にそれを3日間と2回やっているので、

 

120万 × 3日 + 40万 × 2回 =  440万

 

なんと、440万円にもなってしまいます。

まあ、単純計算なので、それだけ毎回参加していたかどうかは分かりませんが、犯人も予想外だったと思いますよ。

 

当時は防犯カメラなどあまりありませんでしたから、犯人を取り逃がしてしまいましたが、今は区民センターを借りている時点で、防犯カメラから逃げられませんけどね。

 

犯人は今頃どうしているんでしょうね。

当然、ろくな人生を送ってはいないと思いますが。

 

今回は、そんないや～な記憶の１片をご紹介しました。

皆さんも、内職詐欺には気を付けて下さいね。

 

今日も長～～い記事を読んで頂き、ありがとうございました。

では、また。

 

 

🌻私が内職詐欺に遭った時の話～～安い受講料だったけれど…