🍚固い食材が噛めなくなってからの調理法~仕事でのオーダー

 

 

教科書通りにはいかない調理

 

前回、調理法の基本編を書きましたが、私自身調理師免許は持っていても、あまり調理が得意ではないので「応用編」みたいなのは避けたいと思います。

 

なので、今回は実際にあった、ご利用者さんからのオーダー内容をご紹介したいと思います。

 

教科書通りにいかなかった内容としては、噛む力が弱ってきたからと刻み食にした事がありましたが、やはり噛む事が辛いようで、刻み食を嫌がる方が多かったんですよ。

 

中にはおしんこをみじん切りにして欲しいと仰る方がいらっしゃいましたが、「入れ歯に詰まる」「食べにくい」「噛むのが疲れる」と言われ、みじん切りをしなくなった事がありました。

 

おしんこをミキサーにかけてゼラチンで固めたり、トロミアップでトロミを付けたりもしましたが、やはりおしんこはそのまま食べた方がおいしいもので、その方は結局おしんこをほとんど食べなくなってしまいました。

 

 

他にも、お蕎麦が好きなおじいさんがいて、普通に柔らかくゆでたお蕎麦を夕食に準備して帰ったら、勢いよく飲み込んだときに喉に詰まり「もう少しで死ぬかと思った」と言われました。

 

ツルツルっと吸い込めてしまうお蕎麦は、柔らかくゆでてもダメなようです。

ですので、ご本人に許可を頂き、3cm間隔で刻んでみました。

 

そうすると「蕎麦を食っている気がしない」と言われ、ご本人が「気を付けるから、蕎麦を刻まないで欲しい」と言うので、柔らかくゆでる事にしました。

 

もちろん、喉に詰まった事も、ご本人のお話も、ケアマネージャーにお話しましたよ。

ケアマネージャーは「本人がそこまで言うなら仕方ない」と言っていました。

 

結局は、野菜をうす~くスライスすることはあっても、刻み食については100%断られました。

 

 

ブロッコリーを30分湯がいた話

 

女性の方で、「入れ歯をしている」と言いたくないのか、いつも「歯が弱いから」と、ものすご~く柔らかく調理して欲しいとおっしゃる方がいました。

 

卵焼きは通常の状態では固く感じるようで、先輩ヘルパーに相談した結果、卵に空気を多く含めながらかき混ぜ、フワフワの卵焼きを作る事にしました。

 

先輩のご実家は養鶏所で、卵料理では分からない事がないほど詳しかったんです。

 

本当は、お箸4本でかき混ぜるとちょうど良く空気が入るようですが、私は泡だて器でかき混ぜてみました。

 

1回目は混ぜすぎてケーキみたいになってしまいましたが、2回目はちょうどいい柔らかさで卵焼きができました。

 

健康だと分からないけれど、きっと卵焼きもあごが疲れてしまうのでしょうね。

 

ブロッコリーについては、一般的に言う「もの凄く柔らかい」状態まで湯がいても、その女性は「固くて食べられなかった」と仰っていました。

 

10分湯がいてもダメなようなので、私も「仕方ない」と、試しに30分間湯がく事にしました。

栄養素は全てゆで汁に流れ出ているに違いないですね。

 

ですが、そこまで湯がいて、やっと「ちょうど良かった」と言われたのです。

その柔らかさは、お箸で突くと崩れるほど。

 

ゆで汁の栄養素はもったいないのですが、ご本人が捨てて欲しいと言うので捨ててしまいました。

 

その方も、刻み食を拒んでいましたよ。

できるだけ料理の形を残したまま、柔らかくして欲しいのでしょう。

 

ブロッコリーに関しては、「あなたが湯がいてくれたブロッコリーが一番いい」と大絶賛。

栄養のないブロッコリーを喜んでいいのかどうか、複雑な気持でした。

 

 

カボチャ煮が固いと言われる

 

カボチャ煮に歯ごたえを残すと、決まって「固い」と言われました。

 

でも、一歩間違えると溶けてしまうカボチャ。

ギリギリのところでタイミングよく火を止めなければなりません。

 

溶けそうで溶けない状態が、一番いいようです。

ほくほくした食感は「固い」と言われる事が多かったんです。

 

ちなみに、西洋カボチャは柔らかく溶けやすいもので、カボチャ自体に甘みがあるものです。

 

日本のカボチャについては元々固めで、どちらかというと解けにくい素材。

素材自体に甘みが少ないので、お砂糖を使って味付けをするとの事です。

 

だから、西洋カボチャを使ったノンシュガーのお菓子が多いのですが、和カボチャはご飯のおかずか、お砂糖をたくさん使って和菓子にする事が多いようです。

 

西洋カボチャの方が柔らかいので、おすすめです。

 

 

「魚は骨を取ってほぐして欲しい」というご希望が多かった

 

ご利用者さんは魚が好きな方が多かったので、魚料理は基本的に骨を全てとり除いていました。

 

ですが、意外と多かったのが「ほぐして欲しい」というご希望。

フリカケのようになってしまいますが、その方が食べやすいようです。

 

 

施設では刻み食もよく見かける

 

私の場合、「刻み食は100%断られた」と言いましたが、施設では普通に見かけていました。

 

三色丼のお野菜もみじん切りで出されていましたよ。

なので、刻み食を断る方はお元気な方なのかも知れませんね。

 

老人ホームでは、刻み食・ペースト食・ミキサー食に分けて、更に医師の指示に従いながら調味料を抑えたり、タンパク質・塩分を抑えたり、禁止食材を他の食材に替えたりしていました。

 

施設は施設でご希望を伺っているので、私が担当していた一人暮らしの高齢者さんたちとは違うオーダーがあるのでしょう。

ミキサー食もかなり多かったと記憶しています。

 

在宅介護の場合、ご家族の食事の準備は大変ですが、こまめに話し合って調理してみて下さい。

 

 

 

 

 

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