老人ホームに入居したいと希望する女性ご利用者さん | 自由人/枝豆金時の日常通りすがりブログ

「家族はずっと一緒」

老人ホームなんて大反対だった

私が担当していたご利用者さんには、御自分から老人ホームへ入居したいとご希望していた方が多くいらっしゃいました。

その理由は「ご家族に負担をかけたくない」「ご家族に気を遣いたくない」というのがほとんど。

その中にこんな方がいらしゃいました。

Kさんは80代の女性の方で、大きなお屋敷の1階に住んでいらっしゃったのですが、形の上では娘さんと同居でありながら、家が広すぎて、まるで二世帯住宅のような生活をなさっていました。

娘さんはお仕事で帰りが遅く、帰って来てから寝るまでの間はKさんと過ごしていましたが、それは1日のうちの1～2時間程度。

それでも毎日ご家族と過ごす時間を大切にしていて、娘さんはKさんとずっと一緒に住んでいたかったようです。

そして、週末にいつも帰ってくる息子さんも、ご家族と協力してKさんを介護していこうと決めていたのです。

一人で家にいる時間が恐い

老人ホームに入りたい

Kさんの方はと言えば、その時、私に本音を少しずつ話し始めていました。

ご家族と過ごす時間は楽しいですし、みなさん仲が良くて自宅にいるのは楽しいとは仰っていましたが、一人でいる時間が怖いという事でした。

老人ホームについて詳しく知りたいけれど、ケアマネージャーが訪問する時にはいつもご家族が同席しているので、とても聞けるような雰囲気ではなかったようです。

私の母が高齢者住宅に住んでいる事を話すと、色んなことを訊かれました。

私がその時に聞かれた内容は次の通りです。

・ご家族が老人ホームに面会に行く時、遠くて大変なんじゃないか?

・もしも長生きして貯金が無くなったら、その後は追い出されてしまうのか?

・1ヶ月に幾らくらいかかるのか?

・冷え性で、室内の温度を好きに調整したいけれど、個室はかなり費用が高いのか?

・老人ホームに入っても、たまに自宅でご家族と過ごす事は出来るのか?

老人ホームには民間企業が運営する有料老人ホームと、国などが運営している特別養護老人ホーム(特養と略します)があります。

費用を抑えたいのなら特養になりますが、特養には4人部屋が多く、少々料金が高くなりますが個室もあります。

特養の費用は介護度や介護の内容、経済的な問題、施設の運営よって異なりますが、特養の場合は、もしも貯金が0円になったとしても心配ありません。

どんなに介護制度が変わっても、経済的な理由で追い出される事は絶対に無いので大丈夫です。

Kさんのお宅は都内でしたので、すでに特養が数多く建設されていて、ご家族が徒歩でも通える距離にいくつか建っていました。

当時、私の母は介護度が5で、見積もって頂いた1ヶ月分の特養の費用は4人部屋で約5万円、個室で約8万円でした。

全ての合計金額なので、それ以上に加算される事はないという事を、一つの例としてKさんにお話しました。

特養でも、個室なら室温を調整するのも自由です。

また、特養に入ってからは一人で自由に外出する事はできませんが、ご家族が迎えに行かれるのなら外出も外泊もできます。

一つ一つ御説明していたら、特養への不安が消えていったようで、Kさんは特養の申し込みをしたいと仰いました。

ケアマネージャーに連絡を取り、ご家族の承諾を得て、Kさんは特養に申し込みをしました。

当初は申請してから空きが出るまで約2年待ちと言われていましたが、Kさんは2ヶ月で入居する事ができました。