エンディングノートというのは、病気によって余命が宣告された患者さんや、高齢者の方が「元気なうちに」と考えて、記録を付けるノートの事を言います。
元々、元気なうちに財産や延命処置の有無、葬儀に関する希望などを、ご家族に向けて書き留めるノートは存在していました。
ですが、今は日記のように毎日書く人が増えていると言います。
最近では専用のノートも売られていますが、市販のキャンパスノートや、日記帳もよくつかわれています。
書く内容は人それぞれで自由ですし、ノートを付ける事で心の整理をしたり、その日一日の意味を振り返ってみたり、ノートに求めるものやノートから得られるものも人によって色々。
そんな自由さから、エンディングノートを書き始める人が増えているのでしょう。
もしもの時に家族をつなぐ 書き込み式 エンディングノート (生活実用シリーズ)
エンディングノートは「死」を意味する遺書とは違い、「死」と同時に「生」をも意味します。
今のこの時間にやり残したことはないか、どう病気に向き合うか、一日一日をどう過ごしていくか、ノートに綴っていきながら心の整理をしていく方が多いようです。
中には、余命を宣告された事でエンディングノートをはじめたものの、その宣告された年数を何年も過ぎるほどお元気に過ごされている方もいらっしゃるでしょうし、「80歳になったから」とノートを付け始め、それからもずっと健康的に過ごしている高齢者の方もいらっしゃるでしょう。
ですが、エンディングノートというものは何十年も書き続けてもいいものなので、その際は全く気にせず、日記のように綴っていきましょう。
遺書とエンディングノートとの大きな違いは、遺書の場合はその内容の意味するものが死後であるのに対し、エンディングノートの場合は「生」と「死」の両方を意味するものであるということ。
生きている今現在の事や、やっておくべきこと、明日の予定と今日の出来事など、まさに「生」ある今現在を綴っていけるノートです。
エンディングノートに「正しい書き方」というものは存在しません。
自由に書いていいそうです。
ただ、先ほどお話した「延命治療」等については、ノートに書き留めておくだけでは、ご家族に気付かれないという恐れがあります。
例えば容態が急変して救急搬送されたとしましょう。
そんな時に生死を分ける手術を受けるか受けないか、ご家族が問われていたとしたら、エンディングノートに目を通す事はまずありません。
一刻を争う状態で急いで病院に駆け付けたご家族が、自宅にあるエンディングノートに目を通すなんて事は奇跡に近いお話なのです。
なので、もしも意思疎通ができなくなった時の延命処置については、事前にご家族にお話し、かつ、その内容を書いた手紙を保険証と一緒に保管しましょう。
病院では、延命処置に関する手術の前に保険証を提出しますので、目立つように保険証入れに入れておけば、分かってもらえる確率が高くなります。
ですが、それはエンディングノートに書くべきではないという事ではなく、もちろんはじめの目立つページに書くべき内容となります。
ご自分がどう生きていくか、ご自分で決める大切なページです。
緊急時でなければ、ご家族が読んで下さる事も可能になります。
ご家族に向けて、ご自分の希望をまずは書き留めておきましょう。
そして、2ページ目からは自由に、メモ替わりにしたり日記を綴ったり、俳句を毎日描いてもいいでしょう。
ある終活アドバイザーさんのお話では、エンディングノートを書く時のアドバイスとして、「1日に1つは楽しかったこと、嬉しかったことを書く」ようにお話しているそうです。
だんだん辛いことが増えてくる毎日かも知れないけれど、それでも今、この時間生きている。
その「生」の中で、「幸せを感じてほしい」と願っての事だとおっしゃっていました。
どうか、一日一日を大切に、良かったらエンディングノートを利用してみて下さい。